流川運河のほとりに生えている木

「高尾奏音界隈のデイリースポーツこと弊ブログ」

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IDOLY PRIDE第3話「誰もが答えを探してる」考察

さてさて第3話です。

今回は渚も加わり、星見プロが7人になりました。

また、LizNoirのふたりも初登場し、新たな火種も垣間見え………?

 

 

 

引き続き、琴乃の抱える問題のお話

第2話の記事で、「確かに麻奈の件は気の毒だが、とはいえ琴乃自身に問題がある」という話をしました。

今回もその目線でいろいろと見ていきたいと思います。

 

本日の琴乃しぐさ

ということで、まずは今回の琴乃の行動から、ちょいとばかし懸念されるところをピックアップしていきます。

 

OP後、渚と昼食を共にするシーンで、「沙季さんが作ったルールが細かくて、時々揉めている」と、まるで沙季が作ったルールが悪いかのような愚痴をこぼしています。

また、渚が星見プロに加わった日には、牧野に対して「ずるい、渚が入るのならそう言ってくれれば」と、さも牧野がもったいぶって内緒にしていたかのような口ぶりで責め立てています。(だが、牧野も弁明する通り、前日にその話を遮って立ち去ったのは琴乃の方である)

先週も見受けられた、何かと人のせいにする癖がここでも伺えました。

 

その「人のせい」と表裏一体で、自分が責任を取る場面を避けるところも見えてきます。

冒頭で沙季から「スクランブルエッグと卵焼き、どっちがいい?」と聞かれた際には自分の好みではなく「みんなの好きな方でいい」と判断を避けたり、全員で牧野に対して「ダンス練習をしたい」と訴えに行くシーンでは、牧野から「全員の要望ということでいいのか?」と聞かれ、(我らが千紗ちゃんは「自信はないけど頑張る」と、まだ分不相応かもしれないという自己認識を持つ謙虚さがありながらも、次のステップに向かう意思・意欲を見せている傍ら)、琴乃は伏し目がちに「本格的なレッスンができるなら何でもいい」と、さも「私は別に言い出してませんよ」とでも言わんばかりの態度を見せていました。

 

また、渚や牧野から口々に「みんなと仲良くしたほうがいい」ということを言われているのに素直に聞き入れない場面も。

こればかりは昔からの性分なので、そう簡単には行かないものでしょうけどね。

 

最後に、困難な状況から逃げがち、というのも言えそうです。

ここまで挙げてきた点も、大体が「逃げ」の姿勢であると言えますが、他にもコミュ障にはつらい結末が待ち受けているであろうことが予想される「親睦会をやろう」という提案を断って自主練に励んだり、居間での会話から立ち去ったりというところで直接的にその姿が伺えました。

 

救世主か余計なお世話か。理解のある渚ちゃん登場

今回星見プロに加わった渚は、中学生の頃からの琴乃の親友です。

www.lisani.jp

そもそもアイドルを志したきっかけも、「琴乃の夢を一緒に叶えたいから」だというくらい、琴乃のことを心から想っている良き理解者です。

学校での昼食のシーンでも琴乃の言動を見抜いていたり、居間の会話から立ち去ったときにも琴乃のムーブを逐一解説していたりと、なんでもお見通しなところを見せつけていきました。

 

琴乃のいい点悪い点、行動原理や直したほうがいいところも含めてわかっているおかげで、渚がいてくれることによって琴乃がいらぬ誤解を受ける心配はかなり減ることが期待できます。

が、一方で初対面のさくらに対して琴乃の言動の真意について解説をかましてしまうなど、「本来であれば琴乃が自分から言い出さなければならない領分」まで余計に渚が解決してしまう場面も見受けられました。

 

割と琴乃の存在ありきで星見プロに加わっている以外に渚には星見プロ加入の明確な動機が伺えない、というか渚が興味あるのはアイドルではなく琴乃ちゃんなのではないかと思われるので、これが唯一無二の親友である渚でなければそれこそ琴乃は「そんな理由でアイドルを志すなんてふざけないで」と言い出しかねないと思うんですけどね。

「琴乃が逃げずに自分と向き合っていく」ためには渚の存在は両刃の剣のように思えますが、果たして。

 

LizNoirとの邂逅

続いては、この第3話の大きなポイントのひとつであったLizNoirの登場について。

 

冒頭、沙季とさくらが朝食を用意している傍ら「今若い女性の間で人気のアイドル」としてテレビで紹介されていたLizNoir。

そんなテレビの中の存在が、突然星見プロを訪れていました。

 

三枝とLizNoir、そしてバンプロ社長の関係とは

「昔のよしみで」、LizNoirの元マネージャーだった三枝を尋ねてきてくれたというLizNoir。

どうやら、その用件は「かつてのようにLizNoirのマネージャーとして、バンプロに戻ってきてほしい」という依頼だったようです。

(↓参考資料)

 

実は、第3話に先駆けて先週更新されていたコミカライズ「Stage of Asterism」(以下SoA)の最新話でもこのエピソードが描かれており、これまでそんな話が少しもなかったところに急展開が放り込まれたということで界隈が騒然としておりました。

comic.webnewtype.com

(↑界隈騒然の図)

 

アニメもSoAも、LizNoir側としては「三枝にバンプロに戻ってきてほしい」「自分たちがバンプロを独立し、星見プロに移ってもダメなのか?」と主張しています。

一方、三枝側は「中央で頑張る気はない(SoA)」「これ以上朝倉(=バンプロ社長)と事を構えるつもりはない(アニメ)」と、媒体により少々内容は違いますが、共通してバンプロに戻る気はないことを告げています。

その「事を構えるつもりはない」という言葉に対し、LizNoir側もかつて第14回NEXT VENUSグランプリで鎬を削ったライバルの存在を持ち出し「じゃあ長瀬麻奈は一体なんだったのか、あなたが育てたんでしょう」と問い詰めるも、居合わせた琴乃の存在によりその話が掘り下げられることはありませんでした。

 

「事を構え」ていた形跡

ここで、少々本筋とはズレますが、三枝とバンプロ側で水面下の小競り合いがあったのではないか?という話をちょっとしておきたいと思います。

 

もうひとつのコミカライズである「Beginning of Lodestar」(以下BoL)では、第1話でそのLizNoirが星見市にライブに訪れる様子が描かれています。

5年前の時間軸で、麻奈がスカウトされた時期にそのライブが開催されています。

 

また、第3話では、通行人いわく「星見市で宣伝なんて力が入っている」という、バンプロの新人アイドルのプロモーション活動が行われていました。

 

三枝とバンプロ側の確執がはっきりと浮かび上がってきた今になって思えば、これらはバンプロから離脱した三枝の動きに対する牽制や刺客といった意味合いがあったのではないか?と考えられるような気がします。

この辺は仮説の域を出ませんけどね。

 

三枝とLizNoir、両者の意図するところとは

LizNoirは、わざわざ星見市まで出向いて、バンプロからの独立・移籍までちらつかせながら三枝に対してマネージャーとしてよりを戻すことを提案しており、それに対して三枝も「朝倉と事を構えたくない」と断る姿勢を見せていました。

 

しかしながら、星見プロへのレッスンののち、帰り際に交わした会話は、

莉央「VENUS PROGRAMでトップを取るなら、私達(LizNoir)と組んだほうが早い」
三枝「けど、それじゃつまらないだろ?」
莉央「…絶対、後悔させてみせますから」

というものでした。

  

「三枝に戻ってきてほしい」と頼んでいたLizNoirの側が、頼みに来ている割には断られて「後悔させる」という捨て台詞を吐いており、一方の三枝も「これ以上朝倉と事を構えるつもりはない」ことへの反論として麻奈の件を持ち出されていた割に、「(LizNoirと組んで頂点を狙うのでは)つまらない」、つまり星見プロで頂点を狙いに行くとも取れる返答をしており、VENUS PROGRAMの頂点への野心自体は否定していないのでした。

 

LizNoir、つまりバンプロ側からは麻奈の擁立について「事を構えた」部類に入るという認識をされているにもかかわらず、再度星見プロとしてVENUS PROGRAMに乗り出すことを示唆した三枝。

LizNoirからの提案を受けていたとすれば「出戻りでバンプロ再雇用」「LizNoirを引き抜いてひと悶着」のいずれかに陥り朝倉との直接対決は免れない結果となっていたでしょうが、結局は星見プロでやっていくとしてもそれらよりはいくぶん間接的とは言え、どの道VENUS PROGRAMを上り詰める過程で「朝倉と事を構える」ことには変わらなそうです。

 

なぜLizNoirは三枝と再び手を取ることを望んでいたのか、そして三枝はVENUS PROGRAMの頂点に近いであろうLizNoirからの誘いを断り、星見プロで何を成そうとしているのか。

その両者の意図について、謎の深まるやり取りでした。

 

"本物"のアイドルに触れた琴乃とさくら

今回最大の見せ場は、三枝から「土産代わりにこの子達のレッスンを見てやってくれないか」と水を向けられたLizNoirが星見プロのレッスンに立ち会う場面でしょう。

(お姉ちゃんよりワンテンポ振りが遅れている千紗ちゃんが可愛いことでも知られる場面である)

ここで、星見プロは初めて「真に実力のある、"本物"のアイドル」のパフォーマンスを目の当たりにすることになります。

 

"本物"を知る者知らぬ者

今いる7人のうち、元々LizNoirの実力を正確に把握していたのは、現場のオタクとして相応のキャリアがあった雫だけだと思われます。LizNoir自体を生で見たことがあったかどうかまではわかりませんが、アイドルに造詣が深い彼女のこと、きっとLizNoirについても人並み以上には知っていたのでしょう。

「昔からアイドルが好き」と話していた白石姉妹も、雫の「好き」とは度合いが違うのではないでしょうか。(沙季に「私達と一緒だね」と言われた雫がなんとも言えない困ったような表情をしているあたり、そんな気がします。)

「麻奈とも競い合った”本物”であるLizNoirなら、お手本動画を見ていなくてもすぐに踊れるくらいの技量は兼ね備えている」ということを正確に言い当てたほか、ちゃっかり(なのか、映っていない部分で懇願していたのかどうかは当人のみぞ知るところですが)、LizNoirのダンスの撮影もしていました。

 

一方で、逆に「過去の経歴から、むしろ生でそういった機会に恵まれなかった」人物こそ、琴乃とさくらなのではないか?と考えました。

琴乃は、過去の麻奈への態度を見るに、麻奈とすれ違って以降の活躍から目を背けるあまり、実はアイドルのパフォーマンスを目にしたことは少なかったのではないか?と推測できます。

晴れ舞台となるはずだった麻奈の事故当日でさえ家で一人留守番をしており、テレビすら点けていないところを見るに、当時の琴乃はかなり意識的にアイドルの映像を遠ざけていたのではないでしょうか。

また、さくらについては、第2話で浮上した疑惑を前提に考えると、少なくとも麻奈の事故の頃までは自由に出歩く機会も少なく、生でアイドルを見る機会というのはそう多くはなかったのではないかと思われるのです。

 

そんなふたりが、LizNoir来訪という降って湧いた機会に、”本物”のアイドルのパフォーマンス、それも今の今まで自分たちが踊っていてその難しさを身に沁みて体感している曲を完璧に踊る姿を間近で目に焼き付けるというのは、得難い経験だったに違いありません。

しかし、その反応は極めて対照的でした。

さくらは目の前で踊るLizNoirの姿に、無数のペンライトに照らされ光り輝くステージを夢想します。

そのさくらの隣にいた琴乃はというと、目の前で繰り広げられる完璧なパフォーマンスに驚愕し、自分が持つ夢を叶えるために追いつき、そして超えていかなければならない、あまりにも高い壁を痛感させられたのでしょう。

そしてふたりは異口同音に、「これがアイドル」と。

 

夢を持つ者、ゆめから覚める者

LizNoirとのレッスンを終えたさくらは、間近で見るLizNoirの素晴らしいパフォーマンスに感銘を受け、「私もあんなアイドルになりたい!」と目を輝かせていました。

「胸のドキドキで」という、目標もへったくれもない理由で星見プロに足を踏み入れた彼女は、ここで初めて目指すべき具体像に出会ったのです。

 

一方の琴乃は、さくらとは逆に「姉のようなアイドルになり、VENUS PROGRAMの頂点に立つ」という目標を持って星見プロのオーディションを受けていましたが、その姉とかつて鎬を削ったLizNoirのパフォーマンスに対峙したことではじめて、いかに自分の掲げた目標が困難で、そして険しい道であるかということをこれでもかと自覚させられることとなりました。

そういった意味では、麻奈の星見プロ加入によって自身のもとから離れていってしまい、突然の死を経てなお今までずっと追い求め続けていた「お姉ちゃん」という幻想に終止符が打たれたとも言えるのではないでしょうか。

「姉のようなアイドルになる」という、明確に見えてその実長らくの間抽象的だった琴乃の目標は、LizNoirというメルクマールを得て今ここにようやく地に足のついたものとなりました。

 

そうしてレッスンを経た琴乃は、牧野に対し「どうすれば、たち勝てますか」と尋ねます。

牧野に「前にも言っただろ?」と返されると、頬を赤らめながら、雫の撮った動画を見返しての反省会を提案。

ちょっと前には親睦から逃げてたのに!!!!!!!!自分から会を開く提案をするなんてえらいぞ!!!!!!!!!!!あと打ちのめされたばっかりなのにもう勝つことに意識を向けているのがえらい!!!!!!

そしてそれを満足そうに見届ける渚の表情よ!!!!!!ずっと周りと仲良くしたほうがいいと主張していたのが遂に叶ってよかった!!!!!!!!!!

 

ということで、「姉がソロだったから」とソロを志願し、周りからも距離を置きがちだった琴乃が、ようやく星見プロ内でみんなに歩み寄りはじめたというところは非常にめでたしの回でしたね。

 

終わりに

今回、ダンスの練習に使われていた曲は、1年と少し前のプロジェクト発表時に真っ先に公開された「Shine Purity~輝きの純度~」でした。

youtu.be

「一人きりじゃ 確かなものは そう何ひとつ見えてなかった」
「一人きりじゃ 求めたものは そう何ひとつ選べなかった」
「君がいて輝くのさ もうひとりじゃないから」

という、今回の内容とリンクしてくるような歌詞の数々が散りばめられています。

 

そんな「Shine Purity」の歌詞の中で、今回の内容を受けて特に注目したいのがこちら。

「大人のフリ 表面だけの 中身は子供のまま」

個人的には、前回の考察以来、琴乃のここまでの道のりについて「アイドルの頂点に手を伸ばしかけた姉の死という悲劇はあるにせよ、それ以外の事象については琴乃自身の成長が必要な部分が大きい(他責癖や姉という存在への甘えなど)」というのは主張してきました。

「ソロでやれる」という強がりや、渚や牧野からの忠告を聞き入れない姿、小学生の頃から変わらずずっと姉のことだけしか眼中に入れていないかのようだったところなど、「表面だけ大人のフリで、中身は子供のまま」というのはそっくりそのままLizNoirと邂逅する前の琴乃に当てはまるように思います。

 

それが、こうして「ひとりじゃない」状態へ一歩踏み出すことができました。

今回流れた「Shine Purity」は、そんな琴乃の前途を照らす一曲なのかもしれません。