流川運河のほとりに生えている木

「高尾奏音界隈のデイリースポーツこと弊ブログ」

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IDOLY PRIDE第10話「自分だけじゃ辿り着けない場所」考察

サニーピースと、長瀬麻奈の打ち立てた無敗記録の更新に王手をかけたTRINITYAiLEとの一戦は、サニーピースの大番狂わせという結果で幕を閉じました。

今回の考察は、「何がその勝敗を分けたのか」にフォーカスしていきたいと思います。

 

 

 

TRINITYAiLEの結成~準決勝前夜まで

まずは、TRINITYAiLEがこの準決勝を迎えるまでの歩みを、わかっている範囲で追っていきましょう。

 

 「絶対的アイドル」を目指して

幼少期からアイドルを好み、その後アイドルを志す道の中で運命に導かれるかのごとく、母と自分を捨ててまで仕事を取った実の父親・朝倉が社長として率いるバンプロの門を叩いた瑠依。

「人々に夢を与え、眩しく輝き、常に目が離せない、そんな絶対的アイドル」

そんな理想を掲げ、見事オーディションを通過しました。

 

養成所でもただひたすらに鍛錬を繰り返す中で、TRINITYAiLEとして活動を始めることとなりました。

オーディションすら非常に狭き門であることが伺えるバンプロの中でも、精鋭のような3人。

www.lisani.jp

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インタビューで「TRINITYAiLEで叶えたい夢」を尋ねられた彼女らは、

天動 誰も届かない高さまで、翔ぶこと……誰もが認める、トップアイドルです。

鈴村 それはもちろん、アイドルの頂点しかありません。

奥山 もちろん、No.1アイドルです!

と、異口同音に「一番のアイドルになる」ことと答えています。

準決勝に臨む前にも、「始めたときから頂点を目指している」と語っていた通り、全員の意識のベクトルが一致していることが伺えます。

 

「認められたい」思いと、立ちふさがる壁

同じくインタビューから、アイドルを志した理由が

天動 不思議なんですが、気づいたときにはアイドルになりたいと思っていました。アイドルを見ているうちに、自然と自分もなりたいと感じていたのだと思います。

鈴村 京都にいる頃から興味はあって、東京に引っ越してちょっと経ってから養成所に入りました。

奥山 それは、ふか〜い理由が……なーんて。アイドルが好きだったからです!

と、3人が3人とも同じように「アイドルが好き」「興味がある」という純粋な動機によるものだということがわかります。

 

しかしながら、出発点こそ同じだったものの、バンプロで頭角を現すうちに瑠依の中では「実の父親である朝倉に、自分のことを認めてもらいたい」という別の目標が芽生えていったようです。

 

ところが、当の朝倉が認め、興味を持ったアイドルこそが長瀬麻奈だったのです。

麻奈のライブの映像を見ながら、瑠依は「勝てないなんて微塵も感じない、ただあの人(朝倉)は私じゃなくて長瀬麻奈を認めている。私にはまだなにかが足りない」とこぼします。そして、「朝倉に認めてもらうには、長瀬麻奈を超える存在にならなければいけない」ことを悟るのでした。

以降、結成以来掲げていた「頂点を目指す」というTRINITYAiLEの目標は、瑠依の個人的感情も入り混じったことで「朝倉に認められるために、朝倉が認めている麻奈のことを超える」、ひいては「麻奈が打ち立てた無敗記録を更新する」という形に具体化していったのです。

………が、その目標が朝倉の意図するところとはズレていたこともまた事実であり、認められたい一心で「長瀬麻奈の記録を更新する」ことを度々口にする瑠依と、「記録にとらわれていては長瀬麻奈には追いつけない」と突き放す朝倉の構図は、以前から度々見受けられていました。

 

ただ、実力は一級品のTRINITYAiLE。

順調に勝ちを重ね、瑠依が目指すところの、しかしながら朝倉にとっては価値のない「麻奈の無敗記録更新」に王手をかけた状態で、NEXT VENUSグランプリ準決勝・サニーピース戦を迎えたのでした。

 

目標の歪みはなぜ修正できなかったか

この時点まででは、瑠依の初志である「絶対的アイドル」であったり、3人共通の目標である「頂点を目指す」という目標が、個人的感情も入り乱れたことで「麻奈の無敗記録更新」という具体的ながらも本質を見失った目標にすり替わったという話をしてきましたが、この目標の微妙な歪みこそが最終的にサニーピースに対する敗北という結果を招いた要因のうちの一つであるように思います。

ここで、サニーピース戦の話に入っていく前に、彼女たち自身はなぜその微妙なズレ・歪みを修正できなかったのかという点をちょっと考えてみましょう。

 

そもそも、TRINITYAiLEがどのようなユニットかというと、公式HPでも

「百年に一人の天才」と言わしめる絶対的センター・天動瑠依を筆頭に、京都弁の参謀・鈴村優、元トップ子役・奥山すみれによる完全無欠なパフォーマンスは必見。

とあるように、圧倒的な実力・努力量という裏付けでユニットを引っ張る瑠依と、瑠依に心酔する優、そしてそのふたりを「姉でもあり、親友でもある」と慕うすみれの3人で構成されています。

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(趣味:瑠依の観察は流石にクレイジーの域である。
https://idolypride.jp/character/yu-suzumura/ より)

 

確かに瑠依のカリスマ性は飛び抜けており、それ故に麻奈の無敗記録更新に王手をかけるほどにまでTRINITYAiLEは羽ばたけたと言えるでしょう。

しかしながら、瑠依の存在が絶対的すぎるがために、却って優・すみれが主体性を発揮できず、極端に言えばユニット全体として思考停止になってしまっていたのではないでしょうか。

優は優で「瑠依のために頑張る自分が果たしてそれでいいのかと悩むこともあったが開き直っている」という突き抜けた心酔っぷりを見せています(Stage of Asterism #13より)し、すみれがベストを尽くしての敗戦後に何の落ち度もないだろうに「ごめんね、瑠依ちゃん」と謝るような言動を見せていることからも、そのように感じます。

 

「無敗記録が止まった」ということは、ここに至るまではそれらの課題が課題として顕在化することもなかったのでしょう。

このはじめての敗戦を糧に、TRINITYAiLEが再び高く羽ばたくことを期待したいですね。

(このへんの参考にしたサイト:カリスマ型リーダーシップとは?カリスマと認知されて部下を動かす! - 人事担当者のためのミツカリ公式ブログ

 

(余談ですが、件の「麻奈の無敗記録を更新する」ことが目標になったシーンで、すみれはそこに同調しつつも「麻奈さんにも…ううん、誰にも負けないアイドルになっちゃおう!」と麻奈だけにとらわれてはいない、結果としては大正解な発言をしているんですよね。

開き直っちゃった優はもう手遅れとして、すみれがもっと遠慮せずに自分の意見を出してぶつけ合っていけたのならより良いユニットになれるんじゃないか?という可能性を感じました。正直星見プロ以外ってそれほど興味なかったけど、奥山すみれちゃんには頑張ってほしい気持ちが芽生えてきたかもしれない。そこのセリフの「なっちゃおう!」って言い方もかわいいし。)

 

サニーピースvsTRINITYAiLE 選んだ勝負の歌は

準決勝に向けて準備を進める両陣営。

続いては、それぞれがどのように臨んだかという点にフォーカスしていきます。

 

「自分たちの歌」を間に合わせたサニーピース

3年前に麻奈の歌うはずだった「song for you」で2回戦を勝ち抜いたサニーピース。

確かに、「song for you」は非常にいい一曲でしたし、そのおかげで2回戦では89%の圧倒的スコアで勝利を収めていました。

www.youtube.com

しかしながら、瑠依の耳にも届いているくらいにはこれが「麻奈が決勝で歌うはずだった曲」という認識は世の中で共有されているようで、なおかつ「麻奈にそっくりの歌声」を持つさくらにかなり強く依存した歌割りになっていることは聴けばすぐにわかります。

当人たちがわざとやったわけでは決してありませんが、結果的に聴く人誰もが意識せざるを得ないほど、サニーピースの「song for you」は麻奈の存在を思い起こさせる仕上がりになっていたのでした。

 

序盤で出てきた牧野の回想シーンは準々決勝終了後すぐかと思われますが、「song for you」で勝ち抜いた直後に、サニーピースは牧野に対し「今後は曲を変える」ことを直談判しています

千紗ちゃんが「さくらちゃんの歌声に頼ってばかりじゃなくて、私たちも輝かなきゃダメですよね!」と決意している通り、誰かに頼らずに、ひとりひとりが輝くために新たな「サニーピースだけの曲」を見つける、というのがグループとしての総意となったようです。そこから準決勝までの短い期間(牧野が仕上がりが間に合うか心配し、野本トレーナーが「できるかぎりのことはする」と協力する程度には短い)で、新曲を完成させる道を選びました

 

その「自分たちだけの曲を探す」ことは、麻奈がさくらに託した願いでもあります。

これにより、麻奈の成仏へのステップが徐々に進み、麻奈の衰弱が進行していくことにもなりました。

 

 

余談:NEXT VENUSグランプリの日程について

各位に共有された資料に、NEXT VENUSグランプリの日程が記載されていました。

それによると、大会本戦の期間は11/6~12/25なのだそうです。

ここから、どんな日程が組まれているのか想像してみました。

 

16組によるトーナメントだと、全15戦が行われます。

また、準決勝は1試合ずつ2週にわたり開催している様子ですが、初戦の方は1日に2試合は開催されているようでした。

とすると、以下のようなスケジュールが考えられます。

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1回戦(全8戦)
11/6(土)・7(日)・13(土)・14(日) 1日2戦ずつ

(11/20週 試合なし)

2回戦(全4戦)
11/27(土)・28(日) 1日2戦ずつ

(12/4週 試合なし・準決勝順番抽選)

準決勝(全2戦)
12/11(土)・12/18(土)

決勝 12/25(土)

 

こんなスケジュールなのではないかと思います。

(ちなみに、2027年のカレンダーがぴったりこの曜日に一致しました)

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(なお、別パターンとして、
2回戦11/20週→11/27週抽選→準決勝12/4・12/11→12/18週試合なし→決勝12/25
のパターンも考えられます。

どっちなのか悩んだんですが、
・2回戦の「song for you」、準決勝の「EVERYDAY!SUNNYDAY!」の準備は流石に1週間では無理だろうから中2週だろうという点
・準決勝の順番を抽選する意味を考えたときに「準決勝前2週・決勝前1週」と「準決勝前1週・決勝前2週」では戦略が違ってくるところが面白いからだろうという点
・興行的に終盤畳み掛けたほうが盛り上がるだろうという点
で上記のパターンだと考えました。)

 

今回の冒頭の抽選は、みんな制服姿なところから2回戦終了後の平日(11/29(月)とか?)かなと思われます。

2回戦までは試合当日に会見だったのが、準決勝以降は1週間前に事前会見になっているようです。

今回両者が顔を合わせた会見は、12/4(土)か5(日)に開かれて、月ストとリズノワの会見は12/12(日)にでもやるのかなと。

 

「勝率の高い歌」で間に合わせたTRINITYAiLE

閑話休題

サニーピースが新曲完成に向けてハードワークの日々を過ごす一方、TRINITYAiLEのほうは、事前会見の際に「サニーピースがsong for youを封印する」情報を掴んだことで、「一番息が合う」「目をつぶっていてもお互いの動きがわかる」ことを理由に「les plumes」を選択し、朝倉もそれを「一番勝率の高い選択」と評し承認しています。

しかし、サニーピースが僅かな期間で新曲を完成させるという攻めた選択をしているのと比べると、既に完成されている曲、裏を返せば伸びしろのない、出力される結果がわかりきった曲を選ぶことは消極的だったと言えるでしょう。

ではなぜ、そうなってしまったのかを考えていきます。

 

準決勝の場で「EVERYDAY!SUNNYDAY!」が流れ出すのを聞いたTRINITYAiLEは、3人とも虚を突かれたような表情を浮かべていました。「事前に新曲の存在を予期していなかった」ことにほかなりません。

つまり、「1回戦から(サニーピースの)ステージを見させてもらっている」と語るTRINITYAiLE陣営は、事前会見の時点では手元にある情報から「song for you」以外の既存曲、つまりサニーピースが1回戦で披露した曲で来るだろうと踏んでいたと考えられます。

(直接描かれてはいませんが、すみれが「1回戦はかわいくて、2回戦も素敵で」と感想を述べているあたり1回戦は「SUNNY PEACE HARMONY」だったのかな?)

だとすると、準決勝に向けてのスカウティングを行っていたとして、その材料には1回戦時点でのサニーピースの映像が用いられたのではないでしょうか。

そして、その時点でのサニーピースの実力と照らし合わせた結果、今発揮できる「les plumes」でのパフォーマンスで上回れるだろうという判断を下したのだとしたら、この意思決定にも納得がいくような気がします。

 

ところが、そうはいかないだけの力を秘めていたのがサニーピース。

1回戦の後から準決勝までの間で、さくらは麻奈と対話し、大切な願いを託されながらも敢えて「song for you」を歌いきり2回戦を勝利。その上で「自分たちだけの歌」を追い求めはじめるという、アイドルとしてはこれ以上ないほどに濃厚な日々を過ごしていました。

どれだけ濃厚な日々だったかは、かつて麻奈のことを教えたこともある野本トレーナーをして「伸びる子たちを教えるのは楽しい」と言わしめ、アイドルとして5年のキャリアを持つ遙子さんが「朝から晩までこんながむしゃらに練習したの、いつぶりかな」と振り返っている、そんな様子ひとつひとつが雄弁に語っています。

 

その期間の伸びしろと、「短期間で新曲を間に合わせてくる」だけの力量をサニーピースが有していたというところに気づかず、それらを計算に入れていなかったのだとしたら、やはりその油断こそがTRINITYAiLEの敗北を招いたもうひとつの要因なのではないか、と思えてきます。

(ただひとり、TRINITYAiLE陣営で朝倉社長だけはその力量を見抜けていたかもしれません。サニピのステージ見てても動じてないし。

TRINITYAiLEに、というか瑠依に戦略を決めさせた上で承認していますが、もしただ勝ちたいだけだったら方向性見直させるはずですよね。

だとすると、「サニピの実力をわかっていて敢えて負けさせた」可能性もある…?なんていう側面も見えてきそうですね。今回情報量多すぎて杉になりそう| ᐕ)⁾⁾)

 

 

その目は正しく捉えていたか

ここまで、「TRINITYAiLE自身の目標のズレ」「サニーピースの力量を見誤ったことによる油断」を、TRINITYAiLE敗北の理由として挙げてきました。
最後に、それらを踏まえてもう一度、全体を洗ってみましょう。

 

サニーピースは、麻奈に「頂点に立ってほしい」「そのために、自分たちだけの歌を追い求めてほしい」という願いを託されたさくらを中心として、新曲「EVERYDAY!SUNNYDAY!」を完成させていきました。

内気だった千紗ちゃんは見違えたような積極性でトレーナーに教えを請い、実力者である怜と遙子さんも負けじと鍛錬の日々を過ごしていました。

そして、TRINITYAiLEと対面した際には恐縮し、拝みさえするほどのファンでもある雫は、同じステージに立つことになったTRINITYAiLEの実力を誰よりも深く知っており、その知識をメンバーに共有していきます。
そのパフォーマンスが完璧であること、ステージから「絶対に負けない」という強い気持ちが伝わってくることなど、その魅力-裏を返せば戦うべき相手の脅威-を余すことなく伝えていました。

そんな日々を積み重ねたサニーピースは、「頂点に立つという目標のために不可欠な、自分たちだけの歌」を手にし、「正しく相手を見据えた」上で、決戦の場に臨んだのです。


翻ってTRINITYAiLE。

「頂点を目指す」と誓いアイドルの日々を過ごすうち、どこか初志とはズレてしまった「長瀬麻奈の無敗記録を更新する」という目標に王手をかけて臨む準決勝。

事前会見の場で「麻奈の歌声を封印する」というサニーピースの意向を耳にするやいなや、「あなた達を倒したら、長瀬麻奈を越えたことになるかしら」と口にしていた瑠依は表情を曇らせます。

また、用意した曲も、「現状一番息が合う」「お互いの動きがわかる」という、あくまでも自分たちの都合だけで決められてしまっていました。いいパフォーマンスをするのにまずは手元での完成度が高いことは重要ですが、果たしてその選択をした目線の先に、今回この曲を届けるべき対象は正しく映っていたのでしょうか?

 

迎えた当日、本番前の楽屋に及んで「私達は今日、長瀬麻奈の記録を越える」という目標を確かめ合いながらステージに立った彼女たちは、確かに申し分ない出来のパフォーマンスを見せていました。

しかし、それはあくまで1回戦時点での、”低く見積もられた状態の”サニーピース相手であれば申し分ない出来だったのでしょうが、TRINITYAiLEに続いてステージに立ったサニーピースは、技術も、そして志までも、もはやかつての姿ではありませんでした。

TRINITYAiLEが予想だにしなかった「短期間での新曲完成」を成し遂げ、そうして掴み取った「サニーピースだけの歌」が見る人の心を強く動かしたのです。

舞台袖で見守っていた、本来であればそのパフォーマンスを退けなければならない立場であるTRINITYAiLEの優とすみれが心を奪われ、ノリノリで体を動かしていることからも、それは明らかです。その時点で勝負あったと言えるでしょう。

 

「麻奈の存在から脱却して自分たちだけの歌を見つけ、そして相手を正しく見据えた上で、最善の準備をもって勝負に臨んだ」サニーピースと、「麻奈の記録にとらわれ、サニーピースのことを直視しなかったあまりに、勝負へのアプローチを誤った」TRINITYAiLE


こうして振り返ってみると、この結果はなるべくしてなった必然のものだったのだと、そう思えますね。

 

まとめ:「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負け無し」

自分はリアルタイムで第10話をみたときに、最速放送のABEMAで一度見て、直後TOKYO MXでもう一度見ても「本当に勝てたのか………?」と呆気にとられ、不思議に思っていました。

確かにサニーピースとしては抜かりなく準備をしていたが、とはいえTRINITYAiLEもそう簡単に勝てる相手ではないはずです。

これまでで一番緊張して汗かきながら見届けた一方、これまでで一番腹落ちしない終わり方のように初見段階では感じていました。

 

なので今回は勝敗を分けた要因にフォーカスしてここまで考察を進めてきましたが、リアルタイムで見ていたときには考える余裕もなかったTRINITYAiLEの立場を改めて深堀りしてみると、なるほど確かにこれは負けるべくして負けたなと納得できるだけの要素が多数隠されていました。

そのときに思い浮かんだのが、「勝ちに不思議の価値あり、負けに不思議の負け無し」という言葉。

日本野球界が誇る名将、故・野村克也氏の発言として有名ですが、元は戦国大名の松山静山が残した言葉なのだそうです。

 

「負けるときには必ずそこに理由があるし、勝っていたとしてもその裏には負けにつながる要因が隠れているかもしれない」。まさに、今回のお話にピタリと当てはまる表現ではないでしょうか。

サニーピースも努力を重ねたとは言え、予選16組中16位と2位の対決。下馬評では圧倒的にTRINITYAiLE有利であることに疑いの余地はありません。

しかし、これもまたよく言われるところの「強いほうが勝つのではない、勝ったほうが強いのだ」ということ。

「ステージに立つ者の感情を、観客は敏感に察知する」と麻奈も断言していましたが、いくら実力があろうと、それが正しい意志のもとに発揮されないことには、見る人の心を動かすには至らないのです。

この準決勝までデビュー以来無敗でTRINITYAiLEは勝ち進んできましたが、その連勝記録の裏側では、いつの間にかこの準決勝で敗れ去る要素も育まれてきていたのでした。

 

そうして初めての敗北を味わったTRINITYAiLE。

試合後の舞台裏で彼女たちを出迎えた朝倉社長は、「記録は、いつか破られるものだ」「アイドルに必要なのは物語だ。それは、輝かしいステージの上でしか語ることはできない」「いいステージだった」と、これまでで初めて瑠依の前で褒める言葉をかけました。

これまで目指していた「麻奈の記録を越える」という目標を果たせずに終わり、初めて敗北も喫したステージで、皮肉なことに彼女が目標としていた「父に認められる」という目標は達成されました。

 

それらの目標が終わりを迎えたとなると、TRINITYAiLE、そして瑠依に残るは「頂点を目指す」「絶対的なアイドルになる」という純粋な目標のみ。

ここからまた、彼女たちの第2章が始まっていくのでしょう。

 

(ところで、この文脈で言うと「いいステージだった」要因を作っている物語を生み出しているのって麻奈でありサニーピースだし、もっと言うとTRINITYAiLEって負けたことでその物語に花を持たせているに過ぎないような気がするんですよね。

だからこの「いいステージだった」って言葉、もちろん瑠依たちなりのベストを尽くしたことに対する賞賛と取ればいいんでしょうが、その本質としては瑠依のことを褒めているという意味には取りづらくて怖いし、妻と娘を捨てて芸能事務所の社長やってる男だからそれくらいのこと平気で言い出しかねなくて怖い。)

 

さて、いよいよ残り2話となってきました。

次は月ストとLizNoirの激突ですが、最後に待ち受けるのは一体………?

(そして先行上映会に当選してしまったので、一足早く最終話を見てきます。場合によっては最終話後までブログ更新しない(できない)かも。)