IDOLY PRIDEの展開が気になるので考察をする(その2) TRINITYAiLE・LizNoir編
※こちらの記事は、2020年に書かれたものなのでずいぶん古い段階での考察記事になります。
アニメIDOLY PRIDEの毎話考察も行っているので、そちらをお求めの方はこちらからどうぞ。
3回に分けたうちの2回目です。
前回は主人公である「星見プロ」のことを読み解いていきましたが、ここではTrySail、スフィアが演じる「TRINITYAiLE」「LizNoir」について知っていこうと思います。
(第1回 星見プロ編はこちら) (第3回 考察まとめ編はこちら)
前回までのまとめ
・星見プロ所属のアイドルたちは、名前もついていない「まだ何者でもない」存在。
・「Shine Purity~輝きの純度~」には「空」「星」「太陽」「月夜」というモチーフが登場する。
「空」=ステージ、アイドル界
「星」「太陽」「月夜」…どれも「空」で輝くもの=今作に登場するアイドル
をそれぞれ表している(ものとしてこの記事は進んでいく)。
ライバルユニット「TRINITYAiLE」「LizNoir」を知る
いつだって君を照らす「星」、TRINITYAiLE
遥かに高い空を見据える、らしい
TrySailの3人が演じる「TRINITYAiLE」。
紹介文を公式HPから引用します。
天動瑠依 | CHARACTER | 「IDOLY PRIDE」公式サイト
"TRINITYAiLEとは”三つの翼”の意。
「百年に一人の天才」と言わしめる絶対的センター・天動瑠依を筆頭に、
京都弁の参謀・鈴村優、元トップ子役・奥山すみれによる完全無欠なパフォーマンスは必見。
すでに新人では異例の知名度を誇るが、三人の見据える空は遥かに高い。
彼女たちの翼はさらなる高みへと、羽ばたいていく。"
「完全無欠」「異例の知名度」「さらなる高み」など、この短い文章の中にこれでもかと絶賛の声が散りばめられています。
そんなすごい存在であるTRINITYAiLEの曲がこちら。
kz(livetune)さん作のポップな一曲です。
画像からして先程の「Shine Purity」よりもキラキラした見た目であることがぱっと見でおわかりいただけるでしょう。
この「Aile to Yell」、出だしで「いつだって君を照らす星になるから」という歌詞が出てきます。
極めて明示的ではありますが、前回の記事で言及した「Shine Purity」のほうで歌われていたところの「星」は、そのものずばりTRINITYAiLEのことを指す。そう受け取ってくれと言わんばかりの歌詞です。
また、「Shine Purity」と同様に、この曲でも「空」「君」のワードは共通して現れてきます。
次は、それらのワードに注目して話を進めていきます。
TRINITYAiLEは「空」を「埋め尽くす」ことができる存在、だが…
「空」に言及している部分は、
「この思いを羽ばたかせ真っ直ぐに届けるよ この空を埋め尽くす未来だけ響かせて」
「この願いを羽ばたかせ真っ直ぐに叶えたい この空を塗り潰す光へと駆けていこう」
の2節。それぞれ1,2番のサビになります。
前者からは、既に「空」に対して自分たちの力で響かせることができる程度の力はある、ということがわかります。
「Shine Purity」の内容で星見プロが「空を見上げる」「空から照らされる」程度の存在であったところと比較して、一段上の存在であることが伝わってきます。
しかしながら、後者ではまだ彼女らとして叶えることができていないことが描かれています。
つまり、「この空を塗り潰す光」というのが彼女らの目指すべきところで、今の時点ではたどり着けていないということです。
「星」である彼女らでもまだ到達していない「空を塗り潰す光」という領域。
星でも月でも、夜空をポツポツと照らすことはできますが塗り潰すことは叶いません。では、空を塗り潰すほどの光を放つものといったら…
そう、太陽でしかありえません。
「Shine Purity」で示されていた「太陽と月夜」という区分けに加え、「星」であるTRINITYAiLEが目指しているものは「太陽」であるという情報も加わってきました。
その「太陽」が指すものはなんなのかというところは後述したいと思います。
ここで、「空」というところからはちょっと逸れますが、彼女らを紐解く上で大事そうな一節があるので少し言及しておきます。
1番Aメロに「小さなこの背中 包んでそっと押した 光をずっと覚えてるから」という部分。
星見プロ側からしてみれば大きな存在に見える彼女らですが、「そんな彼女らの小さな背中を押した光」というまたひとつ上の存在がかつてあったのだと思われます。
TRINITYAiLEのページを開いたときにまっさきに現れる天動瑠依の紹介にも、
"ある人物に認められるため、苦しい道でも歩みを止めることはない。"
という一文があります。
「太陽」の話とも絡んでくる可能性はありますが、「TRINITYAiLEが憧れる人」という立ち位置のキャラクターがどこでどのようにして現れるのかというところも今後作品を追う上で注目していきたい部分です。
「君」は「君」でも、さっきの「君」とは違う「君」
次に、「君」の出てくるくだりを見てみます。
「いつだって君を照らす星になるから」
「すり減らしたソールだって君へのチケットなんだ
少しでも近くに行けるように」
「君の歌声が聞こえたら私の勇気に変わる」
「泣き出しそうなつらいときでも この歌声が君のそばで微笑もう 信じてくれるその手が明日を輝かせてく」
個人的な解釈では、ここでの「君」は大きく2つの意味に分類できるのではないかと思います。
1番目に引用した「君を照らす星」、4番目に引用した「君のそばで微笑もう」での「君」に関しては、応援してくれるファン、あるいはもっと大きい括りで言えば彼女らのことをアイドルとして見てくれている不特定多数のことを指すのではないかと思います。
言い換えれば、TRINITYAiLEのファンであったり「まだ地から空を見上げている」段階にある星見プロの面々であったりに対して使われているということになるでしょうか。
そういった自分たちをアイドルとしてしっかり見てくれる人たちに対し、自分たちは輝く星であろうとするという強い意志が現れている一節、と自分は捉えました。
一方、もうひとつの「君」は2番目、3番目に引用した「君へのチケット」「君の歌声が〜」のくだりに使われている「君」。
この「君」が指すのは、先程言及した「彼女らにとっての憧れ」とも言うべき存在のことを指すのではないかと思います。
「君へのチケット」という部分を考えていくと、そもそもチケットというのは「(演者ではなく)参加者が手にするもの」です。
さっき挙げた「君」=ファンに対してもっと近い存在であろうとするからトレーニング頑張るよ、という意思表示というふうにも取れる…というかダブルミーニングになっている可能性もあるんじゃないかとは思いますが、ここでは「憧れの人に近づくために日々努力を重ねる」と取るほうが自然かなと思います。
また、「君の歌声が〜」に関しては、アイドルである彼女らは本来歌声で勇気を与える側であるところ、「君の歌声」に勇気をもらっているというのがポイント。ここからも、彼女らのモチベーションの原動力となる誰かの存在が感じられます。
TRINITYAiLEについてのまとめ
・TRINITYAiLEは天体の喩えでいうと「星」と位置付けられる。
・「空」を見上げていた星見プロに対し、TRINITYAiLEは「空」を「埋め尽くす」だけの実力を持っている。
・TRINITYAiLEが目指す先は、「この空を塗り潰す光」。(=「星」よりも更に輝く「太陽」ではないか、と考察した。)
・誰かの勇気になれる存在でありながらも、彼女らにも「憧れの存在」がいることが見え隠れしている。
心を「闇」から取り戻す、LizNoir
複雑な過去を抱え、ステージに咲き誇るらしい
ここまでの2ユニットは第一回の生放送で既に明らかになっていたところ、今年に入って1/13(月)の第二回生放送でその存在が明らかになったLizNoir。
スフィアの4人が演じます。以下が公式の紹介文です。
神崎莉央 | CHARACTER | 「IDOLY PRIDE」公式サイト
"比類なきパフォーマンスで魅了する四人組グループ。
力強い楽曲をベースに、震天動地の熱い空間をつくりあげる。
口数少なく、アグレッシブなスタイルを信条とする神崎莉央・井川葵と、
会場全体のテンションを上げる小美山愛・赤崎こころのギャップは唯一無二。
ステージに咲く四輪の“LizNoir”は、美しく咲き誇る。"
こちらもこちらで「比類なきパフォーマンスで魅了」「震天動地の熱い空間」「美しく咲き誇る」といった絶賛の嵐です。すごい!!
その震天動地で咲き誇るLizNoirの曲がこちら。
音楽プロデューサーチームのQ-MHzによる一曲。
用いられているイメージ画像は、TRINITYAiLEとは一転して暗めな印象を受けます。
既にここまでの段階で「星」「太陽」「月夜」という要素が示唆されていた中で、この曲は「Dance 心を闇から取り戻せ―!」から始まります。
LizNoirは開幕から「闇」というワードを伴って登場しました。
闇ということはつまり、先程から度々引き合いに出している「眩しい太陽 静寂の月夜」の対比でいうと「月夜」を構成する側、と読めるのではないでしょうか。
先程までTRINITYAiLEが「星」というお話をしてきましたが、整理するとこの段階では
・「まだ何者でもない」星見プロ
・「星」になるTRINITYAiLE→月夜サイド
・「闇」の中にあるLizNoir→月夜サイド
と、まだ「眩しい太陽」にあたる存在が明確には現れていないことになります。
こうなってくると、公式サイトのCHARACTERページにシルエットだけが載る、今現在まだ明かされていない第4勢力であるもうひとりに本当に注目が集まるところです。
(そういえば「心を闇から取り戻せ」といえば、そのものずばり「こころ」というキャラがいますがまさか闇落ちしてしまうのでしょうか…?いや、わからんけど)
このLizNoirの「不動のセンター」とされる神崎莉央のキャラ紹介には、
"活動休止を経て、ある因縁を断ち切る為に復活した。誰よりも強い覚悟で、アイドル業界の頂点を目指す。"
という気になる内容があります。
「活動休止」という順風満帆でない要素があり、なおかつ「ある因縁」を抱えている。かつ、「初めての挫折を、私達が味わわせてあげる」なんて殊勝なことを言っている彼女らとて「アイドル業界の頂点を目指す」立場、つまり覇権を取れているわけではないと。
ひとつひとつがなかなか重要な意味を持っている紹介文ですね。
また、この曲が発表されたおかげで原点に帰って「Shine Purity」の方の歌詞がまた意味を持って立ち上がってきます。
「Aile to Yell」「Shock out, Dance!!」の2曲が「星」「闇」というキーワードから始まるのに対し「Shine Purity」が「誰に話したらいい この気持ち」から始まる構成になっていることで、先程から再三触れている「星見プロはまだ何者でもない」ということが改めて浮き彫りになるように思えてきました。
また、サビで繰り返し用いられている「星を見て 輝やかせて(←原文ママ) 暗闇も恐れない」のくだりが、まるで「星のように輝くTRINITYAiLEの姿を見て自らを奮い立たせる。強力なライバルとして立ち塞がるLizNoirのことも恐れない」と言っているように聞こえてきません?
果たして本当にそんな展開が待っているのかどうか…?明らかになる日を心待ちにしたいと思います。
歌詞のキーワードにこれまでと変化が?
さて、話を戻して「Shock out, Dance!!」の歌詞を見ていきます。
今度は、これまでの2曲ほど「空」「君」というところに強いメッセージは見当たりません。
「君」が含まれるのは2番サビ前の「君だって知ってるんだ セカイって幻想のLoop 正論なんかどっか行っちゃうんだ」、ラスサビ前の「No no! さあ心を闇から取り戻せ 新しく君も始まれ」の部分のみ。
この「君」には、これまでの2曲ほど限定的な意味はないように(今のところは)思います。
気になる点は、1番サビの「Don't stop dance 誰もが痛みを抱えてる もう会えない人に会いたがる」というところ。「会いたいけど会えない人」がいるということが、何か活動休止の過去、そしてかつては何かしら輝いていたであろう彼女らが今は「闇」の中にあることに結びついてきそうな感じがします。
2番サビには「No no! さあ心が光を求めたら ためらわず始めよう 生まれ変わろう My dream!」とありますが、ここから彼女らが「闇」の象徴として扱われていつつも根っからの悪ではなく、光を求める心を持っているということがわかります。そもそも「心を闇から取り戻せ」って言っているので、となると最初から闇の状態をよしとしていないんですよね。
もし性悪ライバルユニットに見えても嫌わないようにしような!
また、イントロ、間奏、アウトロで終始「One more dream」という言葉が繰り返し使われています。
彼女らもまた、夢に向かって進んでいる存在なのだということが強く感じられます。
しかしこの「One more」というところもまた引っかかるところですね。
One moreということは少なくとも元々ひとつはあった上で、もうひとつということです。
「生まれ変わる」というワードも繰り返し用いられています。つまりは「活動休止」の際に一度死んだようなものになってしまった…?
う~ん、気になるがわからん!w
これまでの2ユニットの曲のキーワードが「空」「君」だったのに対し、この曲のキーワードは「夢(One more Dream)」「闇と光」という印象です。
今のところ、星見プロとTRINITYAiLEとは何か違ったテーマを抱えているユニットという感じがしますが…?
LizNoirについてのまとめ
・LizNoirは天体の喩えでいうと「闇」。(→TRINITYAiLEの「星」と合わせて、「Shine Purity」で出てきたワードである「月夜」を形成していると読めるのでは?)
・「活動休止」「ある因縁を断ち切るために再始動」というただならぬ過去がある。
・「会いたいのに会えない人」という意味深な存在の示唆。
・「Shock out, Dance!!」からは、「夢」「闇と光」というこれまでの2曲とは違うキーワードが読み取れる。
(その3に続く)